なぜ現代の女性は薄毛になりやすいのか?医師に聞くFAGA

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あらなみクリニック院長(慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師)でありAGAに関する書籍の著者でいらっしゃる荒浪先生にAGA・薄毛・若ハゲに関するお話をお伺いしました。

筆者紹介山さん大手エステチェーン2社にて店舗開発の責任者として200店舗以上の出店業務を担当。美容業界専門行政書士・AJESTHE美肌エキスパート(日本エステティック協会)小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

なぜ昔の女性は薄毛になりにくかったか?

今までは、男性についてみてきましたが、女性はどうでしょう?最近は、女性の間でも、薄毛に悩まれる方が増えてきています。女性の薄毛の大部分も、前述してきた男性型脱毛症(いわゆるAGA=Androgenetic Alopecia)と同様のメカニズムで発症するので、「FAGA(=Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれています。

男性ホルモン、テストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHTに変化し、このDHTと毛乳頭にある受容体との結びつきが、髪の成長を妨げます。

女性にも男性ホルモンはあります

「女性に、なぜ男性ホルモンがあるの?」というのは、自然な疑問です。しかし、女性も男性ホルモンを持っています。そして、加齢とともに、男性ホルモンが女性ホルモンに比べて優勢になってくるのです。ヒゲが生えているおばあちゃんを見かけますが、それは、加齢による男性ホルモンの優勢によって起こっているわけです。

しかしながら、女性は、睾丸を持っていません。睾丸は、男性ホルモンを大量に分泌するわけですから、持っていない女性の血中男性ホルモン濃度は、男性のそれの約20分の1です。さらに、女性は、DHTレセプター遺伝子を持っていません。これらのことによって、女性が、男性のように髪の毛が完全に抜け落ちてしまうということは稀です。

女性の薄毛は、主に以下の4つのタイプに分類されます。

女性型脱毛(FAGA)

このタイプの薄毛は、更年期や閉経後の女性ホルモンの減少によって引き起こされます。特徴としては、薄毛が、頭部全体に広がります。

出産後脱毛

妊娠中の女性ホルモンの大量分泌に対して、出産後は女性ホルモンの分泌量が妊娠前に戻り、その差によって、抜け毛が急に増える場合があります。これは、一過性であることが多いのですが、場合によっては、薄毛が進行し、そのまま回復しないという場合もあります。

特徴としては、これまた頭部全体が、薄くなります。この出産後脱毛に関しては、女性ホルモンのバランスを整えるための漢方薬の服用や、プラセンタ注射が効果的です。詳しくは、別項で述べます。

粃糠性脱毛

粃糠性脱毛は、毛穴からの皮脂による、頭皮の炎症、脂漏性湿疹が原因です。マラセチアという真菌は、皮膚の上に常に存在していて、それが原因である場合もあります。

円形脱毛症

円形に1カ所だけ、あるいは何カ所も脱毛し、頭部全体に脱毛が広がる場合もあります。髪の毛だけではなく、まゆ毛や体毛にまで及ぶ場合もあります。これの主因は、ストレスと指摘されていますので、ストレスを緩和し、リラックスを促す漢方薬の服用やプラセンタ注射が効果的です。

皮膚科では、これらの脱毛に対しては、「ストレスをためないように」という指導が一般的です。確かに、人は、ストレスを感じると、血管が縮小し、毛根に栄養がいきわたりにくくなるからです。ストレスは、髪の毛に多大な影響を与えます。

女性のストレスが激増

話は変わりますが、今の女性は、昔の女性より強いストレスを受けていると思いますか?こういうことを書くと、女性のひんしゅくを買うかもしれませんね。しかし、昔の女性は、男尊女卑が徹底した世の中にあって、今の女性より、ひどい状況に置かれていたと思いますが、いかがでしょう?

私事で恐縮ですが、私の祖母は、風呂や食事のために薪を燃やし、洗濯も洗濯機などなく、川や井戸の水で洗い、一日中、まさにコマネズミのように休むことなく働きづめでした。自分のための時間などほとんどなかったとよく言っていました。さらに、お姑さんとの関係や、戦時中の食糧不足などを思い出すと、「今は天国だ」と喜んでいました。

さらに、祖母たちが生きた頃は、栄養的には量、バランスともに相当悪かったと考えられます。毛髪は、主に硬ケラチンというたんぱく質でできていますから、質の良いたんぱく質や、髪の新陳代謝に効果があるビタミン、ミネラルを含むバランスのとれた食事が求められます。それがなかったわけですから、髪の毛が豊かになるということは期待できません。

食糧は改善、ストレスは増加

確かに、祖母のころに比べて、社会は大きく変わりました。今の女性は、多くのストレスを抱えていることも事実です。では、私が言いたいことは何なのか?つまり、現代に生きる女性と同様に、祖母や母の世代の女性も、同じようにストレスを感じながら生きていたということです。

それでは、どうして現代を生きる女性のほうが、薄毛に悩んでいるのでしょうか?答えは、毎日の不適切なヘアケアに問題があると、私は考えています。もともと、人間はシャンプーを必要としません。江戸時代の女性を考えてください。彼女らは、もちろんシャンプーなど使っていませんでした。

シャンプーがなくても美しい髪

化学物質

彼女たちの髪の毛は豊かできれいでした。一方、野生動物ももちろん、シャンプーなどしません。しないどころか、泥だらけでも毛は豊かです。つまり、シャンプーで頭皮の汚れは落とせますが、薄毛にとって、シャンプーの成分が問題なのです。毒性のある化学物質を含んでいる場合もあります。

冷え性

さらに、女性の冷え性が非常に多くなっているのではないかと、女性を診療しているなかで感じています。子どものしもやけが昔に比べて増えているというのも事実です。現代人は、赤ちゃんのころから、冷暖房完備の環境で過ごし、体温調節能力が発達していないことが原因の一つと考えられています。考えるべきことですよね。

実際、冷えを改善する漢方薬の服用で、薄毛が改善しています。このことから、”冷え症“も薄毛の原因の一つであるというのが私の考えです。