医師が語るハーグ治療が効く人と効かない人の差

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あらなみクリニック院長(慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師)でありAGAに関する書籍の著者でいらっしゃる荒浪先生にAGA・薄毛・若ハゲに関するお話をお伺いしました。

筆者紹介山さん大手エステチェーン2社にて店舗開発の責任者として200店舗以上の出店業務を担当。美容業界専門行政書士・AJESTHE美肌エキスパート(日本エステティック協会)小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

ハーグ治療が最適?!育毛剤には本当に効果があるのか?

薄毛治療に、たくさんの人の関心が集まり、それに比例して、街中の薬局、ドラッグストア、そして通信販売で、多種多様な育毛剤が販売されています。当院に来られる患者さんの多くから、「育毛剤って、本当に効きますか?もし、使うとしたら何がお勧めですか?」とよく聞かれます。以下に、あくまで個人的見解ですが、私の意見を述べさせていただこうと思います。

薄毛治療薬の研究、開発の進歩のおかげで、2008年にはハーグカクテル、2016年10月より機能性ペプチドという、科学的根拠のある発毛治療薬が出現しました。画期的な大発明のようでありながら、実際は、これらの薬、療法でさえ、頭皮に塗るだけでは効果は期待できないというのが現実です。

結論「塗布では、明確な効果は期待できない」

これらの薬を頭皮に注射し、直接、毛母細胞まで届けてはじめて、効果が表れるのです。結論は、塗布するだけでは、発毛、育毛に明白な結果を望めないということです。

今回のお話で、「リアップ」の効果については、再三述べてきました。「リアップ」には発毛のための有効成分ミノキシジルが配合されていますし、日本皮膚科学会が唯一推奨しているものです。しかしながら、当院にいらっしゃる患者さんの感想としては、「リアップ」だけでは、発毛、育毛効果、予防効果を実感できないとおっしゃる方が多いです。

実際に育毛剤を作ってみた

私は、重篤な皮膚疾患の治療のために、漢方の勉強をしたので、知識もあります。その知識を見込んで、「育毛剤を作らないか?」と依頼されて、様々な生薬、なかでも地黄、当期など皮膚科で効果が認められているものを配合して、作る努力をしました。

漢方生薬というのは、3000年の歴史を持ち、その長い歴史の中で、本当に効果があるものだけが選択、吟味、淘汰されてきました。だから、漢方生薬とは、自然界にある成分の中で、長い歴史が検証、保証してきた素晴らしいものばかりです。

漢方生薬では、確かに、頭皮はすべすべの美肌になりました。さすがです。そんな生薬においてですら、発毛・育毛効果は認められませんでした。結局は、塗布だけで、発毛・育毛の効果を期待することには無理があるという結論を導かざるを得ませんでした。

シャンプーも同じく明確な効果は期待できない

ずいぶん前から、血流促進効果を謳った育毛剤やシャンプーが販売されていましたが、それらを使われた方はよくお分かりだと思いますが、実際は、効果はほとんどなかったといっても過言ではないと思います。

血流促進剤が配合されていたとしても、その効果が目に見えないようなら、対費用効果の面ではしない方がマシです。頭皮マッサージにも同じことが言えます。ただし、私の個人的見解ですが、育毛剤より、頭皮にとってよいシャンプーを使う方が、頭皮へのダメージを防ぐという意味でよいのではないかと思っています。

ハーグ治療:これからは再生医療技術による発毛の時代

最近の目覚ましい医学の進歩は、副作用なく発毛でき、治療終了後も効果が続く発毛治療法さえ実現してきました。資生堂は、2018年の実用化をめざして、毛包内の底部毛根鞘細胞を採集、培養増殖させ、薄毛部位に注入、再生させる技術の開発を進めています。

他にも、フェニックスバイオ社は、毛乳頭細胞を培養増殖後、移植し毛髪を再生させる技術を、アンデスは、後頭部毛包細胞を採集して、表皮が毛包を作り出す研究を進めています。各社が開発、実用化を目指してしのぎを削っています。

ips細胞をつかった発毛

ところで、ノーベル生理学・医学賞を受賞された京大の山中教授のips細胞のことは覚えてらっしゃいますね。その後の小保方晴子さんの、STAP細胞、ES細胞をめぐるドタバタも記憶に新しいところです。

それらは、幹細胞と呼ばれるものですが、その幹細胞が、毛髪再生医療にも応用されているのです。

人間の体は、60兆個の細胞からできています。それらの細胞を作り出すもとになる細胞が、幹細胞と呼ばれるものです。皮膚や心臓などを形作る、全く別物に見える細胞も、もとは幹細胞から作られたといえば、イメージしやすいでしょうか?

ips細胞とは

皮膚細胞などに特定の遺伝子を入れて誘導した幹細胞であり、一方、ES細胞は、受精卵から作られます。それらは、体内のあらゆる細胞になる可能性を持っています。これらは、人工的に作られていますが、人間の体内には、元々、いろんな細胞になる能力を持つ幹細胞があります。それらを、人工的なものと区別して、体性幹細胞と呼びます。

脂肪幹細胞

発毛のためにさまざまな体性幹細胞が利用されていますが、その中で、「脂肪幹細胞」が最も効果が期待できるものです。繰り返し述べてきたハーグ療法で使用されているのがまさにこれです。また、これらは体内にあるわけですから、臨床の場に、大量に供給することも可能です。

脂肪幹細胞とは脂肪前駆細胞から、最終的に、脂肪細胞になるわけですが、それだけではなく、骨、軟骨、心筋細胞、血管を作る細胞など、あらゆる細胞になる能力を持っています。毛髪再生に関していえば、毛母細胞を再生する成長因子を出し、コラーゲンを生み出し、細胞活性化促進のたんぱく質も大量に生み出します。

この脂肪幹細胞は、毛髪再生のほか、老化した肌を再生するなど、美容医療にとっては夢のような働きをします。実際、現在、多くの医療機関で使われています。

ハーグ療法は画期的な治療法

再生医療技術が、様々な臨床の現場で使われています。発毛に関していえば、各種成長因子(GF.グロスファクター)を頭皮に注入して発毛を促す治療法が行われています。ハーグ(HARG)療法もその中の一つです。脂肪幹細胞を培養し、そこから成長因子を取り出したのが「ハーグカクテル」で、それを頭皮に注入し、毛母細胞を活性化し発毛させています。

頭皮に注入して、毛母細胞が若返り、活発化し、髪の毛を元気に作り出すようにするのが幹細胞です。その幹細胞が多く存在するのが、人間の脂肪の中でも、おへその周りの脂肪です。そこには、体内の老化した部分を補修し若返らせる(新しい細胞を増やす)幹細胞が多く存在しています。

Hair Re-Generative medication=毛髪再生医療

略して、ハーグ(HARG)療法です。日本語に訳すと、文字通り、「毛髪再生医療」です。先ほども書きましたように、私は、入手できるあらゆる成長因子を試しましたが、ハーグカクテル以上の効果を得られたものはありませんでした。

成長因子を頭皮に直接注入

ハーグ療法は、すべての細胞の元である幹細胞から抽出した150種類以上の「成長因子」を含むタンバクAAPEを、頭皮に直接注入します。日本では、2007年から始まりましたが、現在では、約180因子をハーグカクテルが集めています。

発毛機能を再生するハーグ療法ですが、それだけにとどまらず、頭皮の血管を新生し、毛乳頭、毛包まで再生することができるのです。つまり、治療を終えたら、効果がなくなるのではなく、治療後も毛周期サイクルで毛が生える効果を持続することができる画期的な療法です。

発毛できれば、注射を止めても効果が持続

この点が、ミノキシジルやフィナステリドと大きく違う点です。発毛できれば、注射を止めても効果が持続します。もちろん、自然な抜け毛はあります。もう一点、副作用がないというところも特筆すべき点です。

さらに研究が進み、脂肪前駆細胞が成長因子PDGFを増やし、ヘアサイクルの休止期を成長期に移行させることもわかってきました。発毛効果を高めるためには、脂肪幹細胞と脂肪前駆細胞の両方を使うとよいということもわかってきたので、現在、臨床応用が進行中です。

効果がある人とない人

ハーグ療法に使われるハーグカクテルは、同じものであっても医院によって値段の開きがあります。だいたい8万円~16万円ぐらいです。

もう一つの問題は、同じハーグカクテルを使っても、施設によって治療効果にばらつきが出ることです。なぜでしょうか?それは、ハーグカクテルが、しっかり毛根に届いたかどうかがカギになります。

実際、ハーグ療法をめぐっては、「効かない」という記事をネットで見つけることは簡単です。私の周りでも、「専門病院に行き、70万円以上使ったが、全然効果は得られなかった」とか、「3回40万円コースに申し込んだが、全然効かなかった」という人がいます。どれも相当な高額です。それで当院に来られた方もおられます。

ハーグ療法の効果がある人とない人

ハーグ療法に関しては、賛否両論に分かれています。「ミノキシジルとフィナステリドの併用の方こそ効果がある」という人から、「ハーグ療法は100%発毛する」という人まで、その人の体験したことによってさまざまな意見があります。では、どちらがハーグ療法を的確に言い表しているのでしょうか?

私なりに、ハーグ療法が効かない場合、どんな可能性が考えられるかあげてみます。

  1. 毛母細胞が再生するにはあまりに衰弱、あるいは死滅してしまっている。
  2. 注射のやり方が適切でない。
  3. ハーグカクテルと言いながら、実はハーグカクテルでないものを使っている。

以上が、考えられる原因です。確かに毛母細胞が死滅していたら、ハーグカクテルでさえお手上げです。また、ハーグカクテルと言いながら、安価な成長因子を使っているなら、発毛しないのは、当然です。そうでないなら、なぜ、こんなにも効果に違いが生まれるのでしょう?それはひとえに、施術技術の差によるものです。

施術技術の差がある

なにより大切なことは、ハーグカクテルを、正しく、できるだけたくさん毛母細胞に注入することです。効果の差は、そこなのです。皮膚は、上から、角質層、表皮層、真皮層、脂肪層に分かれていて、毛母細胞は、真皮層の上部にあります。そこにどれだけ注入できるかが、その部分の発毛がうまくできるかどうかのカギです。

真皮層には、血管が張り巡っているわけですが、血管の中にハーグカクテルを入れてしまうと、大切な頭皮内にとどまらず、血流にのって体内に拡散してしまいます。当院の患者さんで、ほかの医院で40万円を使いながら効果がなかった人がいますが、当院の施術法にびっくりされた方がいました。

その方の弁をご紹介します。「こんなに細かく打たれたことはありません。前の医院では、10カ所ぐらいに、膨らんでこぶのようになるまで注入して終わりでした。そのこぶの腫れが引かず、三日ぐらいずっと痛かったです。」

正しい施術法で行うと少ししか腫れない

その方の弁から想像できることは、真皮層の奥深くに注入されたと考えられ、それなら当然、毛母細胞には届かず、発毛しないのもうなずけます。それに対して、正しい施術法で行った場合、少ししか腫れませんし、三日も腫れが引かないということはありません、痛みも1時間ほどで取れるはずです。

また、他の不適切な例としては、施術後の出血が続く場合です。血管にカクテルが入ったことが考えられ、出血と一緒にカクテルも流れ出てしまいますから、当然、効果も少なくなります。適切な施術の場合、少ない腫れで、注入口から少しだけ出血するだけです。これが一つの目安となります。これなら、発毛効果が期待できます。