医師に聞いた「シャンプーや毛穴の清潔さはAGAや薄毛に影響するか?」

あらなみクリニック院長(慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師)でありAGAに関する書籍の著者でいらっしゃる荒浪先生にAGA・薄毛・若ハゲに関するお話をお伺いしました。

シャンプーを変えると薄毛やAGAは治るのか?

今は、だれもがシャンプーで頭を洗います。その習慣が日本で普及したのは、約50年前だそうです。現在、私たちが使っているシャンプーには、界面活性剤が入っています。そういうシャンプーが最初に売り出されたのは、1950年ごろです。

江戸時代の女性は、シャンプーで髪を洗ったことはありません。現在を生きる女性たちは、彼女らに比べて、薄毛に悩んでいます。それはなぜでしょう?私は、その犯人の一つが、シャンプーだと思っています。

シャンプーだけで、薄毛を防ぐことはできません

ドラッグストアのシャンプーの棚を見たことがありますか?様々な効能をうたったシャンプーが並んでいます。例えば、「健康な頭皮を取り戻す!」「問題を引き起こす毛穴に詰まった脂をきれいにします!」挙句の果ては、「シャンプーで薄毛を防ぐ」というのまであります。

シャンプーするだけで薄毛を防げるなら、なんて素敵なことでしょう?!しかし、残念ながら、シャンプーだけで、薄毛を防ぎ、髪の毛を生やすことはできません。

界面活性剤の薄毛への影響

現在、店頭で売られているシャンプーの多くには、「界面活性剤」が入っています。よりよく汚れを落とすためです。界面活性剤には、石油系と植物性があり、石油系は、さらに、硫酸系とスルホン酸系に分けられます。シャンプーに一番含有されているのは、石油系のうちの硫酸系です。

硫酸のパワー

硫酸って、どんなイメージですか?硫酸って、犯罪に使われたりして怖いイメージがあります。確かに、硫酸は、つよい腐食性を持っており、強力な洗浄力もあわせ持っています。そのうえ、硫酸には、たんぱく質融解作用があり、これを毎日使うと、頭皮や髪に悪い影響を与えるだろうことは、容易に想像がつきます。

昔、犯罪者が、死体を硫酸に漬けて骨まで溶かして証拠を消し去って、完全犯罪をもくろむという、ホラー漫画を読んだことがあります。硫酸って、こんなイメージです。硫酸は、薄めても硫酸です。硫酸を毎日、使うことが、頭皮や髪の毛に良い影響を与えるはずがありません。

シャンプーをした後、髪の毛がきしみますよね。これは、硫酸のせいです。きしんだ髪の毛に、ヌルヌルしたリンスやトリートメントをすると、サラサラ、しっとりします。いかにも髪の毛にいいことをしたような気がします。でも、実際は、穴をあけた壁に、漆喰を塗って穴を隠しているのと同じことをしているだけなんです。

シャンプーで洗顔すると肌が荒れる

硫酸が髪の毛だけにしか、影響を与えないということはありえません。もちろん、頭皮にも悪影響を与えます。頭皮と顔の皮膚は、連続しています。一度、シャンプーで洗顔してみてください。ヌルヌルしたり、かゆくなったり、大変です。それを1週間続けると、顔の皮膚は、ガサガサに荒れますよ。それと同じことが頭皮にも起こっているのです。

頭皮を清潔に保つために、毎日シャンプーすることが、薄毛を防ぐのに大切だと、喧伝されています。果たしてそうでしょうか?何度も言いますが、シャンプーなどなかった江戸時代の女性の髪の毛を思い出してください。さらに、シャンプーなど知らない民族の髪の毛はどうでしょう?野生動物の毛の豊かさはどうでしょう?

毎日シャンプーは薄毛に逆効果?

薄毛予防のために毎日シャンプーせよ、というのは、間違っているといわざるを得ません。粃糠性(または、脂漏性)脱毛、脂漏性湿疹については、毛穴に溜まった皮脂が酸化し、それが抜け毛やかゆみを引き起こす症例です。

これらの症例に対しても、「しっかり皮脂を取り除くために、毎日のシャンプーを欠かさないでください」と言われます。一見、合理性があるようですが、果たしてそうでしょうか?毎日のシャンプーで皮脂を取りすぎると、皮脂を分泌する皮脂腺は、無くなった皮脂を補充しようとして、逆に、活発化してしまいます。

洗いすぎて、傷ついた角質層の隙間に、シャンプー、整髪料、染毛剤などが入り込み、それが溜まれば、それらに含まれる毒性成分が体に悪影響を及ぼさないとも限りません。シャンプーや染毛剤の中の毒性成分が、抜け毛やかゆみを引き起こすだけではないのです。

毛穴の清潔さと薄毛やAGAはどのように関係するのか

「薄毛を防止するために、毛穴を清潔にする必要があります」という主張もよく聞きます。実際、この主張を強く押しだしている発毛サロンは多いです。さらに、髪の毛の二度洗いまで進めている有様です。

皮脂が詰まった毛穴と、いかにも清潔そうな毛穴を比べたマイクロスコープ写真を見たことないですか?発毛サロンの広告に、よく使われていますよね。しかしながら、私ははっきり言います。「毛穴をきれいに保つ必要はないです。」

薄毛対策は、毛穴の清潔さより頭皮の状態が問題

毛穴をきれいにしようと、強く洗ったら、頭皮を傷つけるだけです。地球にとってのオゾン層が地球を守っているように、人体を守るバリアの働きをし、水分を保持する角質層まで傷つけてしまうのです。

今、薄毛予防の旗印のもと、推奨されていることは、薄毛予防にとっては逆効果を及ぼすことばかりです。今、皆さんが良かれと一生懸命やっておられることは、角質層に傷をつけ、隙間を作り、さらに体を守る角質層をはがしさえしているのです。

昔はあまり洗わなかった

今でこそ、毎日のシャンプーが当たり前ですが、昔はどうだったんでしょう?歴史を紐解いてみましょう。「うつほ物語」は。平安時代に書かれた、日本文学史上、最古の長編物語と言われていますが、そのなかで、平安時代の女性は、七夕の日にのみ、洗髪したと書かれています。七夕の日に洗髪って、なんてロマンチックでしょう!

江戸時代後期の本「守貞謾稿」には、そのころの風俗が描かれています。その中で、江戸時代の女性の洗髪は、月1回から2回、遊女は月1回と決められていたと書かれています。しかし、彼女らの髪の毛は、豊かできれいでした。シャンプーの回数と、髪の毛の豊かさ、美しさは、比例するわけではないということがよくわかります。

数日に1回でも問題ない

私の母のことで恐縮ですが、私の母は、大学時代には、1週間に1回、せっけん洗髪だけだったそうです。今は、彼女でさえ、3日に1度、シャンプーで洗っています。今、母は70代後半ですが、豊かな髪の毛を誇っています。

ここで書いてきたことは、どんなことを意味しているのでしょう?毎日、良かれと思ってしている強刺激のシャンプーでの洗髪は、害こそあれ、いいことはないのです。薄毛の主因になっているといっても過言ではありません。

薄毛やAGA予防のために毛穴は本当に清潔にする必要があるのか?

毛穴を清潔に保ちなさいという主張の中には、育毛剤の効き目を高めるためというのもあります。毛穴につまりがなければ、たしかに育毛剤は浸透しやすいかもしれませんが、毒性のあるものを、体や皮膚に塗布し続けることが、果たしていいことでしょうか?

毒性物質の蓄積は頭髪に悪影響を及ぼしかねない

角質層、有棘層、顆粒層、基底層といわれる何重もの防護層を持っている皮膚からは、表皮に塗ったものがそのまま、体の内部まで浸透することはないと考えられていました。最近ではその考えは覆され、「経皮吸収」といって、ある種の成分は、体内部まで浸透することがわかってきています。

洗顔せっけんによって、たくさんの人が小麦アレルギーを発症した事件を覚えておられるでしょうか?きれいになるために良かれと思って使ったせっけんのなかの成分のうち、泡立ちをよくするための加水分解小麦が、多くに人に、小麦アレルギーを引き起こしたのです。すぐに洗い流すせっけんでさえ、体内部に浸透してしまうことを示しました。

皮膚からも吸収する

口から入るものには気を付けるのに、皮膚から入るものには関心が薄いということですね。しかし、髪を健やかに、豊かに、美しく保つためには、頭皮から吸収されるものにも注意を払うべきです。頭皮は、体や髪の毛にとっては、「口」です。そう考えると、シャンプーや養毛剤、化粧品の選択には、細心の注意が必要なことは言うまでもありません。

肌に塗ったものを、皮膚から吸収することを、「経皮吸収」ということは、前述しました。肌に塗るものは、「お肌の食事」と考えましょう。口に入れたくないもの、体に取り入れたくないものが含まれているものが、悪影響を及ぼさないことがありません。

皮膚から吸収したものは健康に直接影響する

ところで、中国で売り出されている「パンダ犬」「タイガー犬」って聞いたことがありますか?パンダやトラのように、犬に着色して売っているのです。日本では考えられませんが、実際、中国では売られているのです。かわいそうに、それらの犬は、寿命が短くなっているそうです。まさに、動物虐待です。

この例は、表皮から吸収されたものが、生命にまで影響するということを示しています。人間も、シャンプーやせっけん、化粧品等体に直接ふれるものの、成分はしっかり確認しましょう。そして、悪いものが入っているものは、除外しましょう。

清潔にしても、よくない物を吸収すると本末転倒

せっかくきれいにした毛穴から、毛穴をきれいにするものに含まれる毒性物質が入ったら、本末転倒です。もう一度、確認しておきましょう。薄毛治療やその予防に、毛穴をきれいにする必要性がないということ、また、毛穴を清潔に保っただけでは、発毛を促さないということです。もう一度言います。これらのことをしっかり覚えておいてください。

薄毛シャンプーは本当に薄毛やAGAに効果があるのか?

「育毛」のための様々な効能をうたったシャンプーが各種発売されています。その効能とは、「刺激の少ないもの」「髪の成長を促すもの」「頭皮の血行を促進するもの」などです。どれも、本当に効果があるのなら魅力的です。「育毛シャンプー」を実際に使ってらっしゃる男性もたくさんおられるでしょうね。

では、実際の効果はどうなんでしょう?医者として正直に言わせていただくならば、これらのシャンプーがうたっている効能はありません。夢を砕く様で申し訳ないですが、シャンプーによって、毛が生えた、増えたという事例はありません。

では、AGA薄毛対策にはどんなことをすればいいのか?

血行促進のためにマッサージをするのはどうですか?あれは確かに気持ちがいいです。しかし、正直に申し上げます。「やらないよりはマシ」程度の気休めと考えた方がいいでしょう。

数分のマッサージが、頭皮内部の毛母細胞にまで効果を及ぼすことはありません。それ以上、例えば20分ならいいですか?血流は改善されるかもしれませんが、それぐらいの長さのマッサージでは、効果は望めません。

残念ながら生えた事例はない

正直に申し上げて、マッサージで毛が増えた、生えてきたという事例もありません。これまた、「おまじない程度」と考えた方が無難です。毛母細胞まで効果を及ぼすことは、難しいです。

例えば、腕のある部分を毎日マッサージしたからといって、そこの毛が濃くならないですよね。さらに、頭皮は,腕の皮膚よりもっと硬いですから、その硬い頭皮をマッサージして、どのぐらい血流が改善、促進されるでしょう?

私が若い時、発毛サロンに1年間通ったことは下記の記事で書きました。どんな施術が行われるのか、それを実際に体験してみて感じたことは、有名な発毛専門サロンにもかかわらず、やっているマッサージや毛穴からの脂除去は、効果が期待できるとは到底思えないものでした。あんなことだけで、実際に毛が生えてきた人がいるとは、思えません。

育毛剤は薄毛やAGAに本当に効果があるのか

シャンプー同様、ドラッグストアには、様々な育毛剤が並んでいます。いろいろ効能をうたっていますが、大正製薬の「リアップ」だけが皮膚科学会がその効果を確認しています。「リアップ」には、「ミノキシジル」という成分が入っています。

ミノキシジルのほかにも、発毛効果があるかもしれないといわれる成分があり、それらが入っている育毛剤も売られています。しかし、患者さんの感想を聞いて判断する限り、ミノキシジルやプロペシアほど効果はないと、私自身は思っています。

まとめ

以上が、医師の観点から見た、毛穴の清潔さとシャンプーが薄毛にどう影響するかに対する意見です。AGAによる薄毛は病院による治療を受けることで改善することができますので、シャンプ―や育毛剤ではなく病院に受診されることをお勧めします。

 



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