医師が解説!AGA薄毛治療にはどのような副作用があるのか?

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こんにちは。慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師、あらなみクリニック院長の荒浪暁彦です。AGAの主な治療法には、内服と外用薬・注射があります。それらのの治療に副作用はあるのか?それぞれ代表的な内服薬と注射についてご説明します。

筆者紹介山さん大手エステチェーン2社にて店舗開発の責任者として200店舗以上の出店業務を担当。美容業界専門行政書士・AJESTHE美肌エキスパート(日本エステティック協会)小池現役看護師 自分の体に強いコンプレックスを感じ、各種二重整形を始め様々な整形術・ダイエットを行った経験を持つ

どこの皮膚科でも処方しているフィナステリド(商品名 プロペシア)内服薬

前回の記事でもご説明しましたが、AGAは、男性ホルモンが5α-リダクターゼの作用でDHTという抜け毛物質に変換される事により生じます。この原因である、5α-リダクターゼの働きを抑制する効果があるのがフィナステリドです。

男性機能抑制の副作用が生じる場合がありますが、比較的安心して内服できます。ただし、無くなった髪を生やしてフサフサにするところまでの効果はなく、男性ホルモンによる抜け毛物質の生成を抑えて、薄毛の進行をストップさせる、いわば予防薬であると私は考えています。

フィナステリドのレベルアップ薬デュタステリド(商品名 ザガーロ)内服薬

薄毛の原因であるDHTを生み出す原因となっている5α-リダクターゼにはI型とII型があります。フィナステリドは5α-リダクターゼII型を抑制するのに対し、デュタステリドはI型、II型の両方を抑制するため、より高い効果がありますが男性機能抑制の副作用も強いのが特徴です。

実際インポテンツになってしまった方が私の医院では3人いらっしゃいます。弱くなった方は少なくありません。なので、よく考えて内服を行う必要があります。但し、中止すれば正常に戻ります。

精巣に影響があるため20歳以上でないと服用できません。女性は不可で、妊婦の方の体内に入ると胎児に影響が出ますので触ってもダメです。内服中のかたは、保管方法など間違って触ってしまわないように注意しましょう。

ミノキシジル(リアップの主成分)内服薬

元々は全身の血管を拡張させ血流を良くする事により血圧を下げる薬でした。全身の血管を拡張させることで、頭皮の血流がとても良くなり、結果的に発毛します。今の治療法の中では一番効果がありますが、頭皮だけでなく全身の血流が良くなるので、そのぶん副作用も強いです。

副作用が心配なら自毛植毛という選択肢も(美容のプロによる補足)

内服薬のプロペシア(フィナステリド)、外用薬のミノキシジル、内服薬のミノキシジルタブレットこの三つの中では、症状や個人差もありますが、内服薬のミノキシジルタブレットがAGA治療には一番効果的のようです。

しかし、ミノキシジル自体が血管拡張剤として開発されており、多毛症など福作用があり育毛剤に転用された経緯があります。血管拡張剤は、高血圧の方が血圧を下げる薬なので、健常者の方が大量に服用すると副作用として低血圧やEDなどのリスクを伴います。この事から日本では、2017年に7年振りに改訂されたAGA治療ガイドラインにおいては、ミノキシジルの内服薬(ミノキシジルタブレット)は、推奨度分類では男女ともにD(行うべきではない)になっております。

このように、内服薬には副作用のリスクもあり、さらに効果が出るには半年から1年の経過を待つ必要もあります。また、効果には個人差も大きく30代以降の方には効果にバラツキがあるようです。2年以上治療して効果がなかった例もあり、発毛効果と副作用のリスクを考慮すると、確実に頭髪を増やすには、費用はかさみますが自毛植毛という選択肢もあります。

クリニックで行う自毛植毛なら自分の後頭部などから採取した頭皮を植毛するので、拒絶反応もなく副作用のリスクも殆どありません。リスクとしては、他の部位(後頭部や側頭部)から移植用の頭皮を切除するので、1箇所から大量には切除できず限界があります。

また、費用も高額で症状や個人差もありますが、一般的にAGAの薄毛対策には少なくとも2000本前後の植毛が必要で、自毛植毛の費用は100万円前後になります。内服薬と外用薬の併用治療だと半年で2~30万円、1年で50万円前後は掛かります。某育毛サロンのような悪徳クリニックでないかぎり、大半の医師は半年くらいで効果を判断してもらえるようです。

しかし、1年続けて効果がなかったら治療費50万円は泡のように消えてしまいすます。今すぐ確実に頭髪を増やしたい方は、自毛植毛を検討してみては如何でしょうか。

ミノキシジルは少量で頑張るべき!

ミノキシジルには2.5mg、5mg、10mgがあります。容量が大きい程、効果大ですが、副作用も生じやすくなります。むくみ、だるさ等、自覚症状が出た時はかなり心臓に負担がかかっています。
また副作用が出てしまったら、二度と内服出来ず、やめたら元の薄毛に戻ります。だから副作用が生じない様に極力低めの容量で頑張るべきです。

頭皮への注射には様々なものがありますが、代表的なのがハーグ療法とヘアフィラー療法です。

ハーグ療法の副作用

AAPEという脂肪幹細胞から抽出した細胞成長因子を毛母細胞に注入し発毛を促します。顔に注射すれば美肌になります。

注入時の痛み以外特に副作用はありませんが効果には個人差があります。全く無効の方もいらっしゃいます。

ヘアフィラー療法の副作用

様々な機能性ペプチドという毛髪を再生する因子を注射します。日本では、2016年10月から導入された、最新の注射でハーグ療法その他、私が色々試した中では一番効果があります。

注射時に痛み以外の副作用は特にありませんが効果には個人差があり、かなり効果のある方と全くダメな方がいらっしゃいます。

再生医療系AGA治療の進展と副作用(美容のプロによる補足)

上記のハーグ療法もヘアフィラー(機能ペプチド注入)療法も再生医療系AGA治療と言われる治療法です。現在、再生医療の進展は目覚ましいものがあり、AGA治療以外にも多くの医療分野で導入されています。では、現在AGA治療に関して、毛髪再生医療の進展状況と副作用はないのか解説します。

AGA毛髪再生医療

毛髪再生医療とは、毛髪を作る細胞を培養して本人の頭皮に移植する治療法です。頭髪は毛周期があり、髪の毛が退行期で抜けても成長期に再生されて新しい毛が生えてきます。これは、毛穴(毛包)にある幹細胞(成体幹細胞)によるものです。体毛(毛包)は人間の身体の中では、抜けて生えるを繰り返す珍しい組織です。この事から頭髪は生成できる!という説が生れ、90年代から研究が進められるようになりました。

毛髪再生医療は三つに分類されおり、頭髪を作る能力のあるDSC細胞を頭皮から取り出し、体外で培養して脱毛部分に注射器で注入する方法。成体幹細胞を培養して毛包を人工的に作り出す方法、IPS細胞を使って毛包を作り出す方法の三つです。DSC細胞と成体幹細胞を培養する方法は研究が最終段階に入っていて、数年後に実用化するめどが立っているようです。

AGA再生医療の副作用

上記のDSC細胞と成体幹細胞を培養する方法は、自分の細胞を培養するので、副作用のリスクは低いと言われており、実用化のめどが立っております。しかし、IPS細胞を使って毛包を作り出す方法は、IPS細胞がガン化しやすいというリスクがあり、このガン化リスクの解消が進展しなければIPS細胞を使った毛髪再生医療の実現はまだ先のようです。いずれにせよ、幹細胞を使って毛包自体を作り出す毛髪再生医療は、実用化されても5000本移植する費用は2000万円といわれており、庶民がAGA治療で気軽に利用できる金額ではなく、EDなどの福作用のリスクより治療費が脅威かもしれません。

まとめ

以上が、現在AGAクリニックにおいて行われている主な治療方法になります。効果が出るか、副作用があるかは体質によってまちまちですので、親身になって治療を行ってくれるAGAクリニックでの診療をおすすめします。

将来のことや副作用など、後々のことをあまり考えずに、とりあえず薬だけ処方してくれるような病院での治療はあまりおすすめできませんので、自分にあったクリニックを見極めていただければと思います。

筆者紹介

あらなみクリニック院長 荒浪暁彦
慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師

著書「最強!の毛髪再生医療 – 豊かな髪と再び出会える本 – (ワニブックスPLUS新書) 」
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