髪は体の状態を映す
野生の動物の毛のことを思い出してください。彼らは、汚く泥だらけでも毛は抜けません。しかしながら、健康を損なうと、毛並みが悪くなり毛艶も悪くなり、抜け出します。
では、人間はどうでしょう?同じように人間も、豊かな髪の毛やきれいで健康的な肌を望むなら、高価な育毛剤や化粧品に頼るのではなく、”健康を保つ”ことの方をもっと気にかけるべきです。
では、自分自身が健康であることのバロメーターとは何でしょう?確かに健康診断を定期的に受けることも重要ですが、動物園では、動物たちの便の状態を毎日観察して、彼らの健康管理をしているそうです。
便は体調を表す
実際、人間にも当てはまります。健康であることを証明することの一つは、「形のきれいなバナナうんちが出ているかどうか?」です。治療に漢方薬を導入以来、私はこのことを痛感しています。
便の状態を決める腸内の細菌が、人間の髪の毛や肌、ひいては体の健康のみならず人格にまで影響を与えるということが、最新の医学において立証されています。解剖学的にも、腸がきれいなピンク色で健康な人は、輝いた肌を持ち、はつらつとして健康的である場合が多いです。
逆に、固くて狭く、どす黒い色をした腸を持ち、便秘がちの人は、見た目も年齢よりはるかに年取って見えます。実際、検査をすると、生活習慣病を持っているということが多々あります。90歳以上の長寿の方は、輝いた肌、ぴんと張った肌を持ち、若々しく見える方が多いです。
髪や肌のトラブルは体の内部の不調
薄毛を含む肌のトラブルや皮膚病は、積み重なった体の内部の不調がとうとう表出したと、東洋医学ではとらえます。日々の積み重ねによって発症し、いきなり発症というわけではないのです。
皮膚科医になりたてのころ、残念ながら、私は、東洋医学の知識は持っていませんでしたので、アトピーならステロイド剤、ニキビなら抗生物質というように、全体を見ず、局所的に皮膚だけを見て治療しようとする「対症療法」にのみ頼っていました。
髪も肌も体の中から直す
しかしながら、体内部の不調を漢方薬で治療していく過程で、皮膚トラブルまでが同時に治るということに気づきました。要するに、肌のトラブルは元(内臓=腸)から直さなければならないということがわかりました。そして、髪の毛や頭皮だけを直接ケアすることより、体内部をしっかりケアすることの方が、いつまでも若々しい髪の毛を保つ一番の近道なのです。