もくじ
薄毛と病気の関係
急激な薄毛は病気の可能性も
急な薄毛は、病気や異常のサインである可能性もあります。例えば、膠原病、甲状腺疾患、糖尿病、肝臓病、腎臓病が考えられます。さらに、動脈硬化でも、血流が滞り、薄毛になる場合もありますから、体からのメッセージをどうぞ、しっかり受け取ってくださいね。
女性の場合は、上記の病気のほかに、出産後の乳汁分泌ホルモンが関係して、一時的なに多量の抜け毛が発症する場合もあります。気になる場合は、皮膚科の受診をお勧めします。原因がわかれば、対処できますし、心配をほっておくと、それがストレスにもなりかねません。
体が健康であるか否かと、薄毛は大きく関係するということは、以前の記事でも記載しました。その点を考え合わせると、普段の生活習慣も大切です。とりわけ、睡眠は、重要です。十分な睡眠をとるよう心掛けていただきたいです。
薄毛と睡眠の関係性
睡眠は、髪の毛とどんな関係があるのでしょうか?肌や髪の毛の代謝は、昼ではなく夜に行われます。一般的に、免疫細胞やホルモンの力によって、昼の間の様々なダメージを寝ている間に修復します。つまり、睡眠不足が続けば、髪の修復が十分行われないまま、また、昼間を迎えてしまうことになります。
血流が大きく影響する
また、発毛には、血流のよしあしが、大きく影響します。血流が悪ければ、髪の毛への栄養補給が悪くなり、薄毛を促進してしまいかねません。血流は、交感神経と副交感神経によってコントロールされています。
活動時、つまり起きている間は、交感神経の活動により、血管が収縮し、血流が末端にまで行きわたりにくくなります。頭皮にまでなかなか栄養が来ないということです。反対に、リラックスしているとき、つまり寝ている間は、副交感神経の活動により、血管が拡張され、血流も十分なため、頭皮にまでたっぷり栄養が送られます。
薄毛とストレスの関係性
薄毛には、ストレスが大いに関係していると書きましたが、現代に生きる私たちから、ストレスを完全に取り除くことは難しいです。ストレスがかかっているときも、交感神経が働き、血流が悪くなるからです。ストレスを完全除去できないのなら、睡眠時間をしっかり取れるよう、生活リズムを見直してみるのがいいと思います。
睡眠サイクルを大切に
睡眠時間をただ長くすればいいということではなく、寝る時間も大切です。副交感神経が最も活発になるのは、夜10時から翌2時までで、「ゴールデンタイム」と呼ばれています。この時間に、もっとも成長ホルモンが分泌されるのです。この時間帯には、必ず寝ていられるよう、生活リズムを合わせましょう。
どうしても夜型にシフトしがちな我々の生活ですが、髪の毛を考えると、早寝早起きがベストです。女優さんでも、美容のために早寝早起きを実行されている方がたくさんおられます。さすが、プロです。私たちもそれを見習い、夜にしていたことを朝にするなど、朝型の生活リズムにかえましょう。早寝早起きは、髪の毛にとっては、とても大切です。
ストレスはできるだけ発散する
性格はなかなか変えることはできませんが、ストレスが溜まりやすい人、たとえば真面目であるとか、完璧に物事をしなければ気がすまないとかの人は、要注意です。ストレスをため込まず。どこかで発散しちゃいましょう。
たくさんの薄毛の人を診察してきた中で、一つのことに夢中になったり、没頭したりする傾向の人が、薄毛である場合が多いと感じています。何事も突き詰めすぎないで、気楽にいきましょう。ケ・セラ・セラと生きていきましょう。
ストレスをためないように
残念ながら、薄毛の一番の原因は、遺伝です。しかし、それ以外に薄毛に大きくかかわってくる要素は、ストレスです。先ほども述べましたように、薄毛で当院に来院される方を見ていますと、性格も大きくかかわっているなというのを実感します。
呑気な人は薄毛になりにくい?
のんびり、おおらかな人が、薄毛になりにくいとはっきり言えます。ストレスがかかっているときというのは、交感神経が緊張しているので、血流が悪くなり、当然、抜け毛が増えるわけです。私自身も、洗髪時などに、それを実感します。きっと皆さんも同じでしょう。
髪にいいと聞くと、がむしゃらにそれを追い求める熱心な薄毛の方がいらっしゃいます。良かれと思ってされているのですが、しゃくし定規に考えすぎて、それがかえってストレスを招いている場合もあります。
ダイエットに注意
ダイエットをされている方の中にも同じようなに、ダイエットのために、食べてはいけない、あるいは、これを食べろ、またまた、この時間に運動をしろ・・・という指導を守ろうとするけれど、できなかったことがストレスになって逆に太ってしまったという方がおられます。ダイエットも薄毛予防も、無理は禁物です。
当院に相談に来られた患者さんに、発毛サロンに400万円も使った人がいました。その方は、毛が生えてくるのなら、その400万円は惜しくないとおっしゃいます。しかし、そのサロンは、厳しい食事制限を課していて、それができないため、ストレスになり、結局、サロンもやめてしまったというのです。
ダイエットも、発毛も、ストイックになりすぎると、効果を期待できないだけでなく、逆効果にさえなりかねません。あまり、根を詰めずに、気楽に、「できたらいいな」ぐらいのスタンスで臨むのが一番近道かもしれません。なかなか難しいことですが。
ストレスで髪がなくなることも
受験のストレスで
知り合いの女医さんが、ご自身のお子様の中学受験のストレスで、一時に大量に髪の毛が抜けてしまったことがありました。自分が体験してはじめて、患者さんの悩みに寄り添えたとおっしゃっていました。「たかが髪の毛」とは、薄毛の悩みのない人は簡単に言えますが、薄毛の人には、なかなかそうは思いきれないものです。
海外赴任のストレスで
ほかにも、こんな例があります。お仕事で、アメリカに赴任したら、そのストレスで、毛が1本残らず抜けてしまって、帰国後、当院に来られた方がいました。見知らぬ外国生活が、相当なストレスをかけていたことが想像できます。
そんな場合も、帰国して元の環境に戻ったら、髪の毛が生えてくる方もいらっしゃいますし、いったん抜けると、そのことがストレスになって、生えてこなかったという方もいて、人それぞれです。ストレスを発散する時間や、楽しめる趣味をもって、自分なりにストレスに対処していく必要があると思います。
オフの時は好きなことを
私自身、日々、医者としてストレスの多い仕事を忙しくしていますが、オフの時は、ゴルフやサーフィンをします。また、移動時は、ゆっくり漫画の本を広げます。「漫画ですか?」と驚かれますが、私にとって漫画は、リラックスのための最良の方法です。ゴルフしかり、サーフィンしかりです。好きなことをしていると、いろんなことを忘れられます。
サラリーマンの方も、医者と一緒で、移動時には、仕事の資料や新聞、経済ニュースのチェックなどしなければならないことがいっぱいあります。でも、そこは気持ちを切り替えて、リラックスするというのも一計です。与えられた、楽しみの時間と考えるのはどうでしょう?