もくじ
医学的にミノキシジルとプロペシアを併用しても問題ないか
「ミノキシジル内服には、副作用リスクが伴う」というのは、既成の事実です。しかし、一方で、薄毛に悩んでおられる方の苦しみ、悩みというものも深刻です。どうしても患者さんの悩みに応えたいという思いから、ミノキシジル処方に舵を切りました。
「たとえ、少々副作用があっても飲みたい」と言って、ミノキシジルを服用している皮膚科医もいます。実際、皮膚科医は、ミノキシジルを服用する効果を十分、認識しているわけです。ミノキシジルは、ハーグ療法と併用すると、さらに発毛効果を発揮します。
市販のミノキシジルは3つの容量に分かれる
ミノキシジルは、10㎎、5㎎、2.5㎎の容量があり、当然、容量が大きければ大きいほど効果は高いですが、副作用も同様に大きくなります。当院では、他の漢方生薬やビタミン剤を独自に配合して、2.5㎎でも効果を発揮できるよう工夫しています。もちろん、多様な副作用のチェックもきちんと行った上です。
ミノキシジルは、塗布よりは頭皮に直接注射をする方が効果はたしかにあります。注射製剤もあることはあります。ミノキシジルの注射は効果が認められているから注射製剤があるわけで、他の成分では注射製剤は作られていません。しかし、ミノキシジルを注射する皮膚科医は、まずいないでしょう。
なぜなら、降圧剤であるミノキシジルには、副作用を出さない量の見極めが難しい一方、今では、副作用がなく効果も認められているハーグカクテルや機能性ペプチド(ヘアフィラー成分)が存在しているからです。
個人的におすすめな組み合わせ
いろんな条件を鑑みて、今たどり着いている個人的なおすすめは、小なめのミノキシジルと漢方生薬やビタミン剤との併用です。
漢方生薬やビタミンのように、体に害を与えないだけでなく、むしろ体に益をもたらし、健康になれるような薬が、発毛効果も併せもっているなら、そんな理想的なことはありません。私は、それを目標に、日々研究していますが、実現まであともう一歩のところまで来ています。私自身で試し、効果を実感し始めています。乞うご期待です。
ミノキシジル服用中は薄毛の悩みから解放される
多くの皮膚科医ではフィナステリドを、発毛専門外来では高い効果が期待できるミノキシジル内服薬を処方しています。実際、フィナステリドもミノキシジル内服薬も、薄毛治療にとってはエポックメーキングな薬でした。
しかし、何度も書いているように、効き目が大きいミノキシジルには副作用があり、両方の薬の欠点は、内服を止めると効果がないという点です。つまり、ミノキシジルを止めたら、血流は元に戻り、フィナステリドを止めたら、DHTが活発化します。しかし、少なくとも内服中は、薄毛の悩みから解放されることも事実です。
現時点ではフィナステリドとミノキシジルの併用が一番効果的
現時点の最強発毛治療法は、血流を増加させるミノキシジルと、毛髪にダメージを与えるDHTの働きを抑制するフィナステリドの併用です。大多数の皮膚科では、フィナステリドのみを、発毛専門外来では、フィナステリドとミノキシジルの併用に加えて、ミネラルやビタミンを独自処方で加えて、効果を高めています。
毛母細胞を活発化する葉酸、ケラチン合成作用をもつ亜鉛、ケラチンの代謝を促進するパントテン酸Ca、ビタミン1・2・6・12・C・Eに加えて、血流を増加し、滋養強壮効果のある漢方生薬を配合し、高い効果が実証されています。体にやさしい成分を使って効果的に発毛させ、ミノキシジルを減らす努力をしています。
内服薬で発毛=ミノキシジル 発毛サロンの疑問
病院ではなく、発毛サロンでは、発毛のための内服薬の個人輸入の仕方を教えているところもあるそうです。その資料によりますと、その内服薬はまさに、ミノキシジルそのものでした。ミノキシジルなら、発毛するのは当然です。
ミノキシジル内服薬は、日本では未承認薬なので、当然手に入りませんから、認可が下りているアメリカから輸入することになります。国内で承認されていない薬を、良識のある医師は使いません。しかし、なかには、日本で入手困難であることを悪用して、高額で処方している医師もいるようです。
一般の皮膚科で処方されているフィナステリドに比べ、効果抜群で、なおかつ、男性の場合、フィナステリドと併用すれば、かなりの効果が期待できるわけですから、私自身、ミノキシジルを使うかどうか悩んだことも事実です。
女性の薄毛の悩みも、本当に深刻
そんな患者さんの悩みに相対する中で、とりわけフィナステリドを使えない女性のために、ミノキシジル導入を決意しました。もちろん、医師が輸入し、副作用防止のための管理、適切な量の処方を医師が行った上でです。
いろんなリスクがあるにもかかわらず、ミノキシジルは個人輸入できるのです。結局、インターネットの存在が、個人輸入を可能にしてしまったようです。法整備が、技術の進歩に追い付かず後追いになり、いろんな薬がネットで買えるようになりました。「何かあった時は、自己責任で」という無法状態が続いていることは、憂慮すべきことです。
ミノキシジルを個人輸入は注意が必要
ミノキシジルを個人輸入で服用し、ミノキシジル服用の恐怖体験をされた方は、若い方でした。これがもっと年配の方だったらと考えるとぞっとします。命に係わることですから、長期間の連続服用がもたらすだろう心臓や腎臓へのリスクを考えない安易な服用は慎むべきです。
どうか、血圧測定や血液検査などの医師の管理の下で、服用してください。医師は、しっかりとしたところから、入手しますが、個人輸入の場合、怪しいところもないわけじゃないです。また副作用についての言及もない場合もあります。ミノキシジルは、個人輸入して、個人の判断で飲むような薬ではないです。
ミノキシジルは長期服用はできれば避けるべき
ある週刊誌の記者が、3か月間の発毛治療で、かなりの効果を得た体験記事とその経過写真を、週刊誌に載せていました。
記事には、ある医院で治療をはじめ、治療開始1ヶ月ころ、髪の毛が生え変わるサイクルの谷間になったこと、初期脱毛という症状がみられたこと、本人の体調を見ながら薬の強さを決めたこと、彼の場合、一番強い薬を処方されたが、動悸、食欲不振等の副作用もなく、体調変化がなかったと書いてありました。
服用はミノキシジル
記事の内容から、ミノキシジルの服用だとわかります。一番強い薬ですから、載っていた写真のような効果は十分期待できます。医師が管理さえしていれば、たとえ、高容量(10㎎か5㎎)であっても、3ヶ月程度の短期間なら副作用も出ませんし、婚活のためなら、こういう短期集中もありかもしれません。
記事には、「薄毛が改善された状態で安定するのは、治療開始1年から1年半が目安です。それからは、状態を見ながら、投薬回数を減らしていきます」と、医師のコメントも載っていました。ミノキシジルは、徐々に回数を減らすことを考えなければならない薬です。たとえ不具合がなくても、10年以上は飲むべきではありません。
何度も書きますが、ミノキシジルは、降圧剤ですが、今は降圧剤としては使われていません。心臓への負担があまりに大きいからです。というのは、降圧剤は、長期間の連続服用が前提ですが、それには不向きだからです。髪の毛と引き換えに、命を失ったなんて、いやですよね。
内服を止めると元に戻る
ミノキシジルの発毛効果は、ミノキシジルの血流増強作用によるものです。ですから、内服を止めると、血流も元に戻り、その結果、薄毛に対する効果も、元の木阿弥になってしまいます。つまり、ミノキシジルで発毛させることは容易ですが、その生えた毛を、服用中止後も維持することがなかなか難しいです。
いったん生えた毛を維持する工夫は、各医院、医師によって違います。当院では、私が漢方の知識がありますので、血流をよくする漢方薬(駆瘀血剤)など、副作用の心配がなく、むしろ、体にとって益になる薬を併用して、生えた毛をそのまま維持できるようにしています。
長期的に見ると結構お金がかかる
では、金銭的な面でミノキシジルというのは、どうなんでしょう?後述するハーグ療法や、ヘアフィラー療法には、副作用もなく、効果も大きいですが、難点は、短期的な費用が高いということです。
ミノキシジルは、医院によってばらつきがあるとはいえ、1ヶ月の費用が3万円以上するところもあります。そのうえ、やめたら元に戻るので、基本長期に服用することになります。結局、長期の視点で見ると、総支払額は高額になってしまうのがミノキシジルです。おまけに、副作用まであります。
10年前までは、薄毛治療には打つ手がないというのが実情でした。しかし、研究開発のスピードはすさまじく、フィナステリドが、薄毛治療に薄明をもたらした後、ミノキシジル内服という効果的な方法が出現しました。その後、ハーグ療法、ヘアフィラー療法と続きます。今後も研究の流れは続き、さらなる新しい療法の出現の日もやってくるでしょう。