こんにちは。慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師、あらなみクリニック院長、荒浪暁彦です。より良い発毛治療に日々邁進しております。
髪は女性の命ともいいますが、昔は今程、特に若い女性が薄毛になる事はあまりありませんでした。私はこれまで沢山の方の薄毛治療をしていますが、最も効果があるのが①頭皮血流を良くする事、②男性ホルモンの働きを抑制する事です。
つまり、この二つが昔にくらべ、女性の髪の毛に悪影響を及ぼしているという事になります。今回はその理由と対策についてご紹介します。
もくじ
女性の薄毛予防:自律神経により血流が悪くなる
頭皮血流が昔の女性より悪くなっている
血管を拡げる神経を自律神経といいます。この神経はストレスの影響を非常に受けやすく、いつも緊張状態にあると血管は常に縮んだ状態になってしまい、血流が悪くなります。昔と比べ、女性の社会進出が進みストレスを受ける場面が多くなった事、また男性もそうですが、幼少期に甘やかされて育ってきた事によるストレスに弱い事が頭皮血流不足に影響していると考えられます。
頭皮血流を良くするために自律神経を鍛えよう︎
そのため、薄毛を予防するには、少々のストレスには動じない精神力をつけることも大切です。難しいことがあっても、できるだけクヨクヨせず、明るく元気に過ごすことが大事です。
快適冷暖房環境も頭皮血流を悪化
夏は暑く、冬は寒い等自律神経はその環境に応じて血管を拡げたり縮めたりして適応します。しかし昨今は空調のお陰で、夏は涼しく、冬は暖かくできるため、自律神経が鍛えられない事も、血流の悪化原因と考えます。
なので、あまり冷暖房に頼らないで、運動をする、汗をかく等、を行いできるだけ自律神経を鍛える事が大事だと考えられます。
女性の薄毛予防:男性ホルモンが女性の薄毛に影響する
何故、女性に男性ホルモンが?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は女性も男性ホルモンを持っているのです。年をとると、ヒゲや体毛が女性でも濃くなっていくのは女性ホルモンの減少により、男性ホルモンの影響が強く出てくるためです。おばあちゃんにヒゲがあるか確認してみるとよくわかります。
男性ホルモンによる女性の薄毛をFAGAと言います
AGAとはアンドロジェニック(男性型)アロペチア(脱毛症)の略ですが女性のAGAをフェメイル(女性の)(F)AGAと言います。年をとり卵巣機能が低下してくると女性ホルモンが分泌されなくなっていきます。女性の男性化が生じていくのです。その時、髪に男性ホルモンの影響を受けやすい方が薄毛になります。
FAGAを防ぐためにできることとは?卵巣を鍛える
女性がFAGAによる薄毛にならないようにするためには、簡単に言うと女性ホルモンの分泌を促すことが大切です。女性ホルモンを分泌するには、卵巣を健康に維持することがとても大切です。
そのために、大事なのは
- 夜更かしをしない
- ストレスをためない
- しっかり栄養をとる
- タバコを吸わない
- 運動をする等
基本的なことではありますが、このように体を健康に保つ努力をすれば卵巣も健康でいられます。日々の積み重ねがとても大事です。
卵巣を健康にしていたいなら漢方薬も1つの手
卵巣を元気にして、不妊症や生理不順を改善する漢方薬もあります。漢方薬は薬膳と同じなので、毎日飲んでも害が無いことが多い薬です。薬代も比較的安価なので、是非試してみて下さい。
女性の薄毛対策:それでも薄毛が治らない場合は
女性のFAGAに対応した専門のクリニックで受診されることをおすすめします。男性のAGAと同じく早めの治療を行うことにより薄毛の進行を最小限に留めることが出来ます。ただし、こちらの記事(医師が語る「発毛特効薬ミノキシジル!若い女性の摂取は要注意!!」)にも書きましたが若い女性の大容量のミノキシジルの摂取にはくれぐれも注意して下さい。
筆者紹介
あらなみクリニック院長 荒浪暁彦
慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師
著書「最強!の毛髪再生医療 – 豊かな髪と再び出会える本 – (ワニブックスPLUS新書) 」
オリコンメディカル「患者が選んだいい病院」東海四県で総合評価2位、医療水準1位に選出